私を形成する『影』の部分。
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父 4
ナースセンターに設置されていた父の『心電図』を確認
すると、低い位置で波打っている心拍数が、一瞬更に低く
落ちる時が有った。次第にその回数も多くなって行った。

主治医は父の『延命措置』を私達に提案したが、辛そうな
父の姿を見守る時間が長くなるだけで、何より父の綺麗な
身体を傷つけることが嫌だったため、私達はそれを拒否した。

看護婦が父の脈を測りに来るが、ほとんど確認されない状態だ。

父は相変わらず荒い呼吸をしていたが、口元に手をかざしても
息は出ていない。まるで義務のように動かしているようだった。

その義務のような呼吸の動作もだんだんと弱くなり、やがて
機械のバッテリーが切れたように父の動きは静かに止まった。
父は家族だけの見守る中、その生涯に幕を下ろしたのだ。

やはり主治医の判断は正しかった。父が他界したのは『山場』と
宣告された3日目の早朝だった。私達は父が他界してしまった悲しみ
よりも「長い間お疲れ様でした」と労う気持ちの方が大きかった。

父のお通夜は亡くなった当日に某会館で行われ、母達は
別室で仮眠を取っていたが、私はずっと父の亡骸の傍に居た。
たまに棺の中の父の顔を覗き込むと、様々な回想がされた。

甥が死亡した時と同じように、父の亡骸もまた『剥製』のようだった。
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